市民にとっての文化財

 

文化財とは

一言に「文化財」と言っても、対象となるものの性格や重要度などによって、『文化財保護法』のもと、体系的に細かい定義付け及び分類がなされている(図1)。「有形文化財」、「無形文化財」、「民族文化財」、「記念物」に大別され、それぞれに重要度によって「重要文化財」や「史跡」、「特別史跡」などのように区分がある。さらに、1975(昭和50)年の法改正時より、城下町、宿場町、門前町などの歴史的な集落・町並みの保存を目的として「伝統的建造物群」の指定制度も運用されている。

 

 今回、「市民文化財ネットワーク鳥取」は、旧岡崎邸を「史跡」に指定し、池内邸を「登録(有形)文化財」にするように市に提案した。

旧岡崎邸は建造物であるから、「有形文化財」としての指定または登録を目指しても良さそうである。しかし、旧岡崎邸は長い年月の中で多くの改変が行われており、指定の裏付けのためにその改変過程と建設当初の姿を完全に明らかにするには、より詳細な解体調査等を要する。調査にはなお多くの時間を要する一方、今すぐにでも保存の網をかけないと失われかけない遺産であることから、鳥取の歴史に大きな功績を残したと言える岡崎平内の旧邸として「史跡」指定を目指したものである。将来的には、市の文化財指定も検討に値する。

 池内邸は、「登録文化財」制度の活用を目指した。この「登録文化財」制度は、国土開発や都市計画、生活様式の変化などによって消滅の危機に晒されている、特に近代の建造物を中心とした多種多様な文化財建造物を後世に継承していくことを目的として、従来の指定制より簡便な届出制と指導・助言・勧告を基本とした緩やかな保護措置を講じる制度で、1996(平成8)年の法改正に伴って導入された。